香港で火を噴いた私

海外旅行

海外に行くと、自分の常識がいかに当てにならないかを思い知らされることがある。

これは、香港のとある高級ホテルでの話。

ホテルのバイキングで料理を取っていたとき、私は緑色のなめらかな食べ物を見つけた。

見た目は完全にムース。

しかも緑色。

日本人の私の頭の中では、すぐにこう変換された。

「これは抹茶ムースだ」

さらに周りを見ると、香港の人たちがその緑色のものを山盛りに取っていた。

少しではない。

本当に山盛りだった。

私は思った。

「これはきっと人気のデザートなんだ」

食事を終えたあと、私はデザートとしてその緑色のムースらしきものをしっかり取ってきた。

そして一口食べた瞬間。

私は火を噴いた。

それは抹茶ムースではなかった。

ワサビだった。

しかも、私はそれをデザートだと思って山盛りに取ってきていた。

鼻に突き抜ける刺激。

目に来る衝撃。

脳天まで響く辛さ。

高級ホテルの優雅なバイキングで、私はひとり静かに非常事態になっていた。

一番驚いたのは、周りの人たちが平気な顔で食べていたことだ。

私は一口で火を噴いたのに、彼らは普通に山盛りのワサビを食べている。

そのとき思った。

海外では、見た目だけで判断してはいけない。

そして、周りの人が普通に食べているからといって、自分にも大丈夫とは限らない。

海外旅行の面白さは、有名な観光地だけではない。

こういう小さな勘違いの中にもある。

自分の常識が通用しない瞬間。

見た目にだまされる瞬間。

そして、あとから思い出して笑える瞬間。

あの日以来、私は海外のバイキングで緑色のものを見ると、すぐには信用しない。

まず見る。

少し疑う。

できれば匂いを確認する。

そして心の中でこう聞く。

「これはデザートか?」

「それとも罠か?」

香港の高級ホテルで、私は大事なことを学んだ。

緑色だからといって、抹茶とは限らない。

 

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